日本人と四季の着物
千利休が「夏はいかにも涼しきように」と言ったのはとても有名なお話しです。エアコンなどが発達していなかった昔は、温暖化もさほど進んでいませんから、さすがに気温が体温を超えるようなことはなかったでしょうが、それでも高温多湿の日本の夏はさぞ暑かったでしょう。そのせいか、よしず、風鈴、打ち水、うちわ……、と、夏を快適に過ごす工夫には風情を感じさせてくれるものがとても多いですね。
先人たちは季節を受け入れ、季節に寄り添い、季節と共に生きる工夫をたくさん凝らしていました。特に日本の住宅やきものは先人の知恵が詰まった宝庫と言っても過言ではありません。また食べ物も、日本人はかつて旬の恵みに感謝をし、今よりもっと大切にいただいていました。
かつて私たちの遠い先祖は、麻や楮(こうぞ)、葛などを単衣で身にまとい、寒くなればそれを重ねて着ていました。二十四節気……、日本に二十四もの季節があることを、着物ファンの皆さんはよくご存じですが、それに合わせて上手に重ねて着たり脱いだりしていたことはあまり知られていません。戦後、一定のルールができて十月から五月は袷、六月と九月は単衣、七月と八月は薄物と、こんなに多くの季節を持つ私たちがたった三種類の装いになってしまいました。
寒い季節には袖口や裾などに綿を入れて着用したり、背中に真綿を入れたり、少し暖かくなると袖口や裾の綿をとって「素袷」で着用したり……。体感や二十四もの季節に応じて臨機応変に着る物を選ぶセンスと感覚を持っていた私たちの体感を信じて……、温暖化の厳しい昨今ではありますが、単衣の着物や胴抜きの着物、そして夏の着物をもっと愛用してみませんか。
自宅で洗うことができて、即乾く! シワが出たら水道水で霧吹きをすればすぐにシワが取れる! そんな小千谷縮が温暖化に伴ってますます人気ですね。もともとは、このシャキッとしたハリのある素材は、武士の裃(かみしも)の素材でした。あの肩幅(笑)のところ、生地にハリがなかったらぜったいにへろ〜んってなってしまいますもんね。
その小千谷縮を生産している業者が集まっている組合、小千谷織物同業組合では、2012年に小千谷縮好適期間を変更しました。本来は薄物ですので盛夏、つまり7月、8月だけに着用を許されていた小千谷縮の着用期間を5月から9月のお彼岸までとして、快適な着物ライフを応援しています。これには亡くなられた木村孝さんや、中谷比佐子さん、市田ひろみさんも応援のメッセージを寄せています。
そして、市田ひろみさんはいつも「着ている人が楽しいように」と口癖のようにおっしゃっています。来ている方が苦しかったり、動きにくかったり、暑かったり、寒かったりしたら着物を楽しめませんので、この「着ている人が楽しいように」は簡単な日本語なのに、なるほどと、感心するばかりです。
見る人が涼しい「夏の着物美人」
とはいえ、地球温暖化傾向がどんどん進む高温多湿の日本。酷暑の夏に着物を着るのは、機能的なことだけ申せば理に適(かな)っていないのかもしれませんね。でも、裸でいても暑いわけですから、ここは気合いを入れたいところでもあります。もちろん命がけで着ることではありませんが、昔の「武士は食わねど高楊枝」じゃありませんが、暑くてもやせ我慢をして、見栄を張り、意地になって美しく、涼しげに装うことになんだかかっこよさを感じてしまいます。
Tシャツ一枚で湯上がりのように汗をかいて、口元も緩んで目はうつろ。だらしない気持ちで歩いているときに、ふと、着物姿の女性とすれ違うと、もう感動! 賞賛の気持ちすら抱いてしまいます。言葉を換えれば「日本女性の心意気」とでも申しましょうか。なんだかとてつもなくカッコイイんです。
合理的で機能性を重んじる、諸外国の先進的な方々から見れば、いや、国内でも和の文化や日本に興味のない方から見れば、とっても奇妙なことかもしれませんが、猛暑の日でも、敢えて「見る人が涼しいように」着物を着て、ニッコリと涼やかに微笑み、優雅に振る舞うという心意気は、日本女性の最大の意地であり美しさの秘訣かもしれません。美は気合いだ!
さて、気合いを入れて夏の着物で出かける方! なるべく着用する枚数が少ない方が快適だと思われる方も多いかもしれませんが、実は、汗取り襦袢などをしっかり身に付けた方が涼しいです。そして、ステテコもお勧めします。麻素材がお勧めなのですが、こなれてくるまで最初はお肌に痛いかもしれません。何度か洗っては着て、洗っては着てを繰り返した頃の麻のステテコは、吸湿速乾で快適です。
足袋にも麻がありますので、興味のある方はお試しを! その他、ヘチマの帯枕や、メッシュになった帯板や腰紐など、夏を快適に過ごすためのいろいろなアイテムがありますので、いろいろと試してみてくださいネ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「きものレンタルわらくあん」スタッフY(50代 女性)
幼少期から着物に親しんで育った大の着物好き。情に厚く涙もろい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水持産業株式会社
https://www.warakuan.jp/
〒933-0804富山県高岡市問屋町20番地
TEL:0120-25-3306
各SNSではお役立ち情報・最新情報を更新中ですˎˊ˗
ぜひフォローして投稿をチェックしてください🔍
種類豊富・高品質な着物をお気軽にレンタル!
〘きものレンタルわらくあん〙
@kimono_warakuan
確かな品揃え、着物購入をお考えの方にオススメ🌷
〘きものサロンみずもち〙
@kimono_mizumochi
七五三・二十歳・婚礼など和装の撮影ならお任せください📷
〘きものフォトふりる〙
@photo_furiru