【アレコレ細野美也子】着物コーデ:2月① 東レ洗える附下|みずもち|富山県
正統+クールな上級者コーディネート。
〈着物〉
日本の伝統色で秘色色の雪持松(ゆきもちまつ)柄の附下。
地色は灰みのある薄い⻘磁色。すっきりした色です。
ところで、日本の伝統色で秘色色(ひそくいろ)という色があることをご存知でしょうか。この灰みのある薄緑のことを指します。その神秘的な色合いを称えた美称としての色名です。正統派スタイルが好みで、かつ洗練された雰囲気で装いたい方。
そしてストーリーで着物を楽しみたい上級者にお薦めしたい一枚です。
描かれている雪持松――雪持ちというと、雪持笹や雪持椿など、冬景色として描かれることが多いのですが、
こちらの雪を乗せた細い松の繊細さは、春先にうっすら積もった名残雪の風情が感じられます。
2月の月名・如月(きさらぎ)は「衣をさらに着る寒さ」からきたという説があります。
雪がモチーフのきものはその寒さを表す柄ではありますが、ここはむしろちょっと先取り感を意識した、極寒の雪景色ではなく、「春の気配に見る名残雪」として着てみてはいかがでしょうか。
また、究極では歌舞伎「菅原伝授手習鑑」に合わせたコーディネートとしても。登場人物の松王丸が雪持松を衣装としています。見どころのシーンはやはり季節が春なのに、衣装は雪持松。松王丸の名前に因んだものであり、かつ耐え忍ぶ心情を表す柄とされています。着物上級者ならではの楽しみ方といえます。
3月弥生を目前にした、あえて2月にご紹介した理由がここにあります。もちろん、天気を気にせず“雪”でもお召しいただけます。
着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。
〈帯〉
日本工芸会作家・故大村禎一作「さざなみ」。
大村禎一はローケツ染めの技法を使って自然を語る作家です。
“語る”と表現したのは、自然といいながら自然特有の豊かな色を使うのではなく、削ぎ落とした独自の感性で作品を仕上げるから。美大の日本画家を選考した大村ならではの力量が感じられる一筋です。「さざなみ」という名前の通りの穏やかさもあり、一方でダイナミックさも感じる、複数の顔をもつ不思議な帯です。モダンでエッジィなコーディネートにピッタリでありながら、今回のように伝統的な風景を柄に描いた着物でもうまく納まります。
モダンで都会的なデザインやコーディネートがお好きな方には、ぜひ手にとっていただきたい帯です。
〈コーディネート〉
趣味的なシーンで着ていただきたい上級テクニック。
帯のところでもお話していますが、正統派といえる柄の附下に、抽象的でモダンなデザインの帯を合わせた点が、今回のポイントです。伝統的な風景の柄や、具象的なモチーフの柄では、ある程度テイストをあわせた雰囲気の帯をもってくることが多いのですが、ここでは同じ自然がテーマとは言え、表現方法がまったく違います。
なのに、スッと納まっているのは附下のほうがスッキリした淡白な表現だから。
もちろん、大村禎一の作家性も大きいのですが、帯が合わせやすい附下の力量は特筆すべき点です。
歌舞伎、お茶、日舞等の発表会など、趣味的なシーンで着ていただきたい上級テクニックです。
白の帯〆に大人の存在感、ブルーの帯上に隠れた遊び心が感じられます。
附下:東レシルック洗える着物 106-0108
袋帯:日本工芸会正会員 故大村禎一 さざなみ 116-0153
帯上:313-0141
帯〆:江戸組紐 五嶋紐 冠 ゆるぎ 312-0275
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/
〈コーディネーター〉
コーディネート 文:細野美也子様(月刊アレコレ)
https://www.arecole.com/
Instagram:@arecole.miyakohosono
〈会社案内〉
水持産業株式会社
https://www.warakuan.jp/
〒933-0804富山県高岡市問屋町20番地
TEL:0120-25-3306
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