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茶の湯の着物:富澤輝実子 12ヶ月の着物| わらくあんみずもちsince1941 富山

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茶の湯の着物:江戸千家師範 富澤輝実子監修 12ヶ月の装い

〈一月:初釜・初茶会〉

立場とお流儀によっても変わりますので、おおむねの目安を記します。
〈着物〉訪問着あるいは色留袖(比翼なし)、お嬢様でしたら振袖(家元の初釜に出席の場合で、社中を連客にしての師匠は色留袖(比翼なし)が抜群にふさわしい装いと思います。社中の装いはミセスでしたら訪問着、お嬢様は振袖をお勧めします。それは、着物は自分のためだけでなく、席中のかぐわしい雰囲気を高める役目もになっているからです。初釜はできるだけ華やかに装うのが、招いてくださった方への礼儀でもあるのです。着物の模様は松竹梅や宝尽くし、雪持ち文や御所解き模様などのほか、几帳や御所車、鳳凰や鶴などのおめでたい文様も素敵です。

〈帯〉格調高い文様と織り方の袋帯で色目はきものに調和するものを選びます。格調高い文様とは、①正倉院写しの文様(例えば、宝相華・大唐花円文、獅子狩猟文、鳳凰の丸文など) ②有職文様(雲立涌、八藤の丸、鳥襷(とりだすき)、小葵、伏せ蝶文など) ③割付文(七宝、亀甲、蜀江、各種菱文様、格天井など) ④吉祥文(松竹梅、鶴亀、宝尽くし、瑞雲、光琳水などの水文、波、扇面など)。そのほかたくさんございます。
織り方では、錦織、唐織、綴れ織などが良く知られていますが、締め心地の良い地質のものを選ぶと体が楽です。逆に硬い地質のものを選んでしまいますと、締めている間中きゅうくつですし、「早く家に帰って帯解きたいわ」と、せっかくの晴れやかな茶席を楽しめず残念なことになってしまいます。


商品番号:103-LL-kaw0068
商品名:訪問着レンタル 訪問着LLサイズ 加賀友禅:二代目由水十久 若菜摘み 薄香色
商品ページ:https://www.warakuan.jp/houmongi/view/10873/

〈二月(あるいは三月):利休忌〉

〈着物・帯〉おおむね、色喪服に黒喪帯あるいはグレーや藤鼠色の色無地紋付に色喪帯ですが、流儀によっては色無地紋付に地味な帯というところもあります。

〈帯〆・帯上〉どちらも黒、あるいはグレー、藤鼠色などきものの色目に揃えておくと調和が良く、着姿もきれいです。
※但し、流儀によって流祖の追善茶会の装いは様々です。例えば遠州茶道宗家の「遠州忌」は、お家元ご家族もお客様も皆様華やかな訪問着や振袖で装ってお集りになります。また、京都の藪内(やぶのうち)流・藪内宗家の「剣仲忌」では一つ紋付訪問着に立派な袋帯や綴れ帯で装っておられます。
それは、流儀が始まってから数百年を数えてさらに隆盛であることを祝う意味合いと、もれ承ったことがございます。流祖の没した日を悼みつつも今日の流儀の隆盛を祝うということなのですね。
他には、流儀で揃いの着物や帯を作って、皆様で着用している場合もあります。


商品番号:105-LL-kaw0004
商品名:色無地レンタル 色無地LLサイズ 唐織十二支牡丹唐草 縫一つ紋:桔梗 水浅葱色
商品ページ:https://www.warakuan.jp/iromuji/view/10606/

〈三月(あるいは四月):ひな祭りの茶会・お花見の茶会〉

ひな祭りの茶会やお花見の茶会は各地の公共団体や公的な施設、ホテルや庭園などで大規模に開催されるものや野点形式のものが多くみられます。出席のお顔ぶれを考えながら装いを決めるとよろしいのです。

〈着物〉訪問着や附下、お嬢様は大規模な場合のお運び(お通い)などのお手伝いを頼まれている方は、振袖あるいは小振袖の友禅小紋など華やかなもの。

〈帯〉訪問着や附下にはおめでたい感じの模様の袋帯。振袖は振袖用の帯。友禅小紋の場合は袋帯か全通・六通柄の錦織の名古屋帯、あるいは綴れ帯。

〈五月:初風炉〉

〈着物〉茶室が夏の設えになりますので、袷の着物ですが、柔らかな色目のものが新緑によく映えます。ただ、お客様はゴールデンウイークあたりから、気温30度くらいの日にはこっそり単衣をお召しになっています。このとき、半衿は塩瀬(絽塩瀬ではなく)です。長襦袢は「年中絽なの」という方がいらっしゃるので、体調に合わせてよろしいでしょう。暑すぎてめまいがしてはいけませんし、汗だくになってお化粧が剥げてしまってはかえって辛くなってしまいますから。

〈帯〉帯は訪問着や附下でしたら袋帯、色無地や小紋でしたら錦織の名古屋帯でも可。綴れ帯もよいものです。


商品番号:103-LL-kaw0053
商品名:訪問着レンタル 訪問着LLサイズ 京友禅:染匠市川 うたし竹 薄ピンクグレー
商品ページ:https://www.warakuan.jp/houmongi/view/10435/

〈六月:アヤメ茶会などの季節の茶会〉

〈着物〉この月から単衣になります。たいていの茶会では袷の時よりもさわやかな模様付けの訪問着や附下が用いられています。各種の秋草を取り合わせた模様や水辺の模様、鷺と葦、光琳水などを交えた模様がお勧めです。

〈帯〉この月から紗袋・絽袋帯、絽綴れ帯を用います。模様はお好みによりますが、涼やかさの感じられるものを選ぶとよろしいでしょう。


商品番号:103-LL-khi0003
商品名:単衣訪問着 単衣訪問着LLサイズ 加賀友禅:本間哲也 月にホトトギス 白茶
商品ページ:https://www.warakuan.jp/houmongi/view/10510/

〈七月:朝茶事〉

〈着物〉朝茶事は他の茶事にはない、夏らしい独特の趣向が凝らされるため、小規模ですが多くの茶室・お稽古場・料亭などで開かれています。早朝のお集りですので、装いはそれぞれに簡単でよろしいのです。おおむね、夏の小紋や紗紬類、明石縮や麻の着物、そのほか長板中形などの高級ゆかたでも大丈夫です。ご一緒する連客の方とお話し合って決めると良いでしょう。長板中形はゆかたの中では最高のもので、染め帯も締められます。もちろん博多帯でも大丈夫です。

〈帯〉夏の小紋には絽あるいは紗の染め帯、夏生地の織りの名古屋帯。紗紬類には絽あるいは紗の染め帯に加えて、紗紬地の染め帯、夏生地の折の名古屋帯など。長板中形などの高級ゆかたの場合は博多帯、紗紬地や麻地の染め帯などが素敵です。


商品番号:103-LL-kna0003
商品名:夏訪問着レンタル 夏訪問着LLサイズ 加賀友禅:本間哲也 波に千鳥 紅碧色
商品ページ:https://www.warakuan.jp/houmongi/view/10496/

〈八月:恩師などの追善茶会〉

〈着物〉八月のお盆に合わせて恩師などの追善の会が催されます。その折、普段の装いですといつもの「ご飯食べ会」と変わらず、感慨が薄いものとなってしまいます。ところが、なかにおひと方でもきちんとした和服の方がいると、その場がきりりと引き締まって、なんだか一段格が上がるように感じられるものです。ですから、和服の方の存在は大切です。
そこで、着物は地味な色の絽や紗の無地か江戸小紋などがふさわしいでしょう。

〈帯〉夏の黒喪帯か紫やグレー、モスグリーン、こげ茶などの深い地色の夏の色喪帯がよいでしょう。ない場合は夏の黒喪帯にしておくと安心です。いずれにしましても、和装の方は少ないと思いますので、ほかの出席者に「何着ていくの?」などとお尋ねして、あまり目立ち過ぎない装いで出かけましょう。もし、目立ち過ぎてしまったときは、それを「次回のための良いお勉強だったわ」と思って心を静めてください。

〈帯〆・帯上〉黒喪帯の場合は黒の帯〆と黒絽の帯揚げにし、色の着物の場合は、その着物や帯よりも暗い色の小物を合わせるか、きものと帯に溶け込む色にすると落ち着きます。小物が明るく目立つのは避けたいところです。


商品番号:103-LL-kna0008
商品名:夏訪問着レンタル 夏訪問着LLサイズ 加賀友禅:本間哲也 秋の七草 水色
商品ページ:https://www.warakuan.jp/houmongi/view/10501/

〈九月:観月の茶会〉

〈着物〉お月見の茶会は夕方からのことが多いと思います。単衣の時期ですので、季節に合わせた着物でよいと思います。

〈帯〉単衣の着物用の紗袋、絽袋、綴れ帯などでよろしいでしょう。


商品番号:103-LL-khi0005
商品名:単衣訪問着 単衣訪問着LLサイズ 加賀友禅:本間哲也 コスモス畑 白鼠色
商品ページ:https://www.warakuan.jp/houmongi/view/10798/

〈十月:クリスマス茶会・チャリティー茶会〉

十月:名残の茶会と様々なテーマの茶会
〈着物〉この月まで風炉ですが茶会のシーズンに入りますので、各地の神社やお寺の茶室、美術館や公共施設の茶室、ホテルの茶室などで大規模な茶会が毎週のように催されます。楽しい季節です。テーマにもよりますが、着物はおおむねお好みの模様の訪問着をお召しの方が大勢です。あるいは色留袖も立派です。お流儀によっては「色無地で」というところもあるやにお聞きしますが、それはお流儀のしきたりに従うことをおすすめします。きもの愛好家にとっては、やはり趣向に合わせた訪問着を着たいところが本音です。色無地ばかり着ているのはつまりませんし、それ1枚しかもっていないのかしら?と誤解を与えかねません。晴れ晴れと上品で優美な絵羽模様のきもので装いたいものです。工芸作家のお作品などもここ一番でお召しになって映えると思います。模様はお好みでよろしいのですが、吉祥の意味合いのあるものがなじみもあって話題性もあり、よろしいでしょう。例えば、松竹梅、鶴亀、宝尽し、七宝、亀甲、蜀江、扇面、各種菱文、光琳水、波文、御所車、几帳、鳳凰などや御所解き模様、琳派の模様などがどなたにもお似合いになって格調もあり優美に装えると思います。

〈帯〉帯はお好みで合わせますが、やはり格調のある上品な色柄の袋帯がよろしいですね。


商品番号:103-LL-kaw0058
商品名:訪問着レンタル 訪問着LLサイズ 加賀友禅作家:本間哲也 菊水図 ピンクグレー
商品ページ:https://www.warakuan.jp/houmongi/view/10802/

〈十一月:炉開き・口切り〉

〈着物〉十一月は炉開き、口切りという大きな茶の行事がある特別な月です。茶事の場合と茶会の場合では異なりますので、ここでは茶会の場合の目安をご説明します。
お客様は大抵訪問着で装います。炉開きよりも口切りのほうが厳かに装ってよろしいのです。茶会は茶事と異なり大勢様がお集りになりますから、多少目立つ格好でもかえって喜ばれます。座が華やぎますからね。茶道教授というような茶の湯の道でキャリアの長い先生方は色留袖もふさわしいでしょう。席にお座りになったときに上半身は無地のように見えても、膝上には立派な古典柄が見えるというのも、手本にしたい達人の装いと言えるでしょう。

〈帯〉帯は格調高い荘厳な色柄模様の袋帯か、お母さまや伯母さまなどから譲り受けた丸帯でも良いでしょう。お身内から譲り受けた着物や帯を身に着けると、緊張感も薄らぎますし、守られている心地がするものです。


商品番号:103-LL-kaw0081
商品名:訪問着レンタル 訪問着LLサイズ 加賀友禅:本間哲也 宝尽くし 薄色
商品ページ:https://www.warakuan.jp/houmongi/view/10918/

〈十二月:クリスマス茶会・チャリティー茶会〉

〈着物・帯〉十二月はクリスマス茶会があちこちで開かれています。このときばかりは、どんな装いでも許される(笑)自由気ままなところも魅力なのでしょう。お道具組も日ごろは見られない和洋取り混ぜてのもので、気軽な楽しさがあるようです。
ですから、クリスマスパーティの装いのようにこしらえてよいのです。例えば、着物はローズピンクの色無地にして、黒地にクリスマス柄(サンタクロースやクリスマスツリー、カモシカとソリ、雪、ベルなど)の帯(袋帯でも名古屋帯でもOK)、帯〆はグリーンにして帯上は薄めのローズピンクというふうに合わせると、ぐっと気分が高まります。
また、暮れにはチャリティ茶会も多く催されます。あまり頑張った装いですとかえって会の趣旨と雰囲気に合わなくなってしまいます。簡素な装いがよろしいでしょう。色無地か小紋程度に名古屋帯でさらりと伺うのが良いでしょう。会費をお納めしてそこから寄付をするのが目的ですので、華美に装うことはいけません。
※たまに除夜釜に招かれることがあるかと思います。その時は忙しいさなかに伺いますから、紬の着物に染め名古屋帯か博多帯(ゆかた用ではなく紋織りのもの)で大丈夫です。今年1年が無事に過ぎたことを互いに喜び、一服のお茶と年越しのおそばをいただいて帰ります。若い時にはないしみじみとした感慨が得られると、年配の茶人の方からお聞きしとことがあります。

〈茶席の着物と和敬清寂〉

お茶歴史がはじまったころから、着物は今日のような小袖という形に落ちついてきました。
お茶と着物が、それぞれの時代を経て、洗練されつくしてきたといえます。
着物とは深いつながりがありますが、当時の茶人は、表立っては男性でしたので、正式には実徳を着ます。
流儀によっては袴をつけるといった約束事がありました。しかし、婦人の着るものには、特に難しい決まりはないと聞いています。
それなら何を着てもいいかというと、やはりお茶という「和」と「清」のひとつの世界を生活の中に求めるのですから、その調和を乱すようなきもの姿にならないように心がけたいと思います。
ほんとうに茶道の心得の深い人は、他人の服装をあげつらうこともないと信じますが、その場にふさわしいものを着なければ、ひとり浮きあがってしまうこともありましょう。ときには、主催する方へ失礼になることもあります。
前もって、主催者や先生、同席する人々と打ち合わせることが大切です。
紋を付けたきものを着ることで、相手に対する「敬」の精神を表現することにもなります。
着物と帯のとりあわせで、格式を守ることもできます。
お茶を習う女性が着物選びをするのに、茶会の趣旨を考えて、茶室の広さに応じ、時候に合わせた装いをすることは大切なことで、これもお稽古のうちと思います。
年月とともに洗練され、やがて迷わないようになり、着物姿の動作にもしっとりとした味わいが自然に身について、茶室の「寂」を感じるようになるのではないでしょうか。

〈富澤輝実子プロフィール〉

染織・絹文化研究家:富澤輝実子(とみざわ・きみこ)
1951年(昭和26年)新潟県生まれ。婦人画報社入社。『美しいキモノ』編集部で活躍。
副編集長を経て独立、染織・絹文化研究家として活動。誌面「あのときの流行と『美しいキモノ』」連載。
婦人画報社:現ハースト婦人画報社https://www.hearst.co.jp/

美しい着物編集部での活動

昭和48年:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)入社、美しいキモノ編集部に配属。
入社した頃はまだまだ着物業界華やかなりし時代で、毎号超一流のカメラマンが超一流の女優さんをモデルに最高の着物姿を撮影してくださいました。
この時代は、貸しスタジオがさほどありませんから、ご自分でスタジオを構えているカメラマンのところに伺いました。
最も多く行ったのは麻布霞町(現在の元麻布)にあった秋山庄太郎先生のスタジオでした。
「本格派のきもの」というテーマでは大女優、名女優が毎号お二人出てくださいました。
当時の編集長がページの担当で私たち新人はアイロンかけのために同行。
当時のバックナンバーを見てみると、岡田茉莉子さん、十朱幸代さん、小山明子さん、星由里子さん、佐久間良子さん、三田佳子さん、司葉子さん、有馬稲子さん、岸恵子さんなど錚々たる方々です。

取材

産地取材:明石縮、伊勢崎銘仙、越後上布、江戸小紋、大島紬、小千谷縮、加賀友禅、京友禅、久留米絣、作州絣、塩沢紬、仙台平、秩父銘仙、東京友禅、西陣織、博多帯、結城紬、米沢織物など各地に。
人物取材:「森光子のきものでようこそ」の連載。森光子さんが毎号おひとりずつゲストを迎えて着物姿で対談をしていただくページで、浅丘ルリ子さん、池内淳子さん、千玄室大宗匠、中井貴一さん、人間国宝の花柳壽楽さん、東山紀之さんなど華やかなゲスト。

海外活動

娘時代から続けてきた茶の湯の稽古が思いがけず役に立つときがやってきました。
海外における「ジャパニーズ・カルチャー・デモンストレーション」のアシスト。
バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、ベラルーシ、ロシア・サンクトペテルブルク
日本文化の普及活動のお手伝いをしています。

講師として

大学や専門学校で「日本の染織」「着物現代史」「世界の民族衣装」の授業を担当。
NHKカルチャーでは「着物の基本」をレクチャー。
早稲田大学の「早稲田のきもの学」の講師。

〈会社案内〉

水持産業株式会社
https://www.warakuan.jp/
〒933-0804富山県高岡市問屋町20番地
TEL:0120-25-3306

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