着物コーディネート3月:細野美也子|わらくあんみずもちsince1941 富山
〈三月コーディネート①〉
お節句の気分を短冊にこめてコーディネート。
着物
エ霞を背景にした短冊の柄が描かれた附下。
歳時記をコーディネートに盛り込めるのが着物の楽しさであり、醍醐味です。
3月は桃の節句の季節。
一般的には3月3日ですが、旧暦の4月3日で行う地域もあるようです。
桃の節句のコーディネートといえば、代表的なモチーフが雛人形。
そして桃の花や菱餅、さらには雛人形からのイメージで、平安時代の十二単のお姫様などがお節句コーディネートとして選ばれることが多いと思います。
それはそれで楽しめますが、時期が限定されるという縛りもあります。
今回ご紹介するエ霞を背景にした短冊の柄が描かれた附下。
短冊と言えば、和歌を読む細長い紙。
料紙(りょうし)と言いますが、現代では流派によりその寸法は異なります。
和歌と言えば誰もが思い浮かべるのが平安貴族たちの知的な遊び。そして必須の教養でもあります。
そこからの、節句の時期の柄としてご紹介していますが、もう一つのオススメポイントが、逆に雛人形柄のようにドンピシャでないところ。さりげない柄ですが、時々で意味をもたせたり、単に柄としてだけ見ることもできたり、実は秀逸な柄の一つといえます。
そして特筆すべきはきものサロンみずもちセレクト附下の自慢の一つ、色出し。
紫がかった薄ピンクとも、ピンクがかった薄紫ともいえる透明感のある繊細な美しい色。
いい意味で帯や小物の邪魔をしないカンバスのような役割を担う色です。
シンプルながらエ霞のぼかしの効果で手が込んだ印象もあり、迷ったときの一枚としても重宝。
これならお節句時期のお茶席にも設えを気にすること泣く着用でき、かつ、分かる人にはわかる、知性を感じさせる一枚です。
着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。
帯
九寸名古屋帯 西陣織 浅野織屋 唐花 白鼠。
こちらはぜひオススメしたい一筋です。
そのポイントは九寸名古屋帯ということ。
これくらいのグレードだと袋帯になることが多いのですが、軽くて締めやすい九寸名古屋帯。
訪問着にも、小紋にも合わせられる汎用性の高い帯です。
ピンクのある上品な白地ベースの唐花も、クラス感がありながら織りだされた九寸名古屋帯。
柄行や織から見て格が劣るということはありません。
柄と品質が帯の格となります。ヘビロテ必至のアイテムです。
コーディネート
春らしい優しい色を意識したコーディネート。
実際の着物と帯も、上品でクラス感がありながら、重たい印象にならないように仕上げました。
帯〆は五嶋。帯上は衿秀。どちらもライト系のトーンで合わせて、あえてアクセントになる強い色を入れないのが、
今回の春らしい優しいコーディネートのポイントです。
附下:東レシルック洗える着物 106-0065
九寸名古屋帯:西陣織 浅野織屋 唐花白鼠 120-0025
帯上:京都和装小物 衿秀 313-0080
帯〆:江戸組紐 五嶋紐 312-0217
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/
〈三月コーディネート②〉
動きのある曲線が大人カワイイコーディネート。
着物
ピンクみのあるやさしい地色が春らしい洗える附下。
スッキリしたやさしげな唐花が描かれていますが、茎の曲線に動きがあり、また⻘を活かした配色に若々しさを感じさせます。
コーディネートをするときのポイントとして、色や柄のことは誰もが考えると思います。
そしてもう一つ意識したいのは、帯との“バランス”です。
これはいわゆる格を合わせるというのとは別で、全体の雰囲気で見るバランスのこと。
やや抽象的でわかりにくいかもしれませんが、重量感、軽やかさ、華やかさ、シンプルなどのイメージから判断します。
もちろん、色調、柄の密度も関係してきますが、例えば、1月にご紹介した松の柄の附下は重量感を感じさせる一枚でした。
合わせた帯は同様に重厚感がある向かい鴛鴦がダイナミックに一対表現されたものでした。
考え方として、同じような重厚感、同じような軽やかさでバランスをとるというのが基本。
一方で、柄の密度があるので帯はシンプルに、という考え方もあります。
そこも含めての“バランス”なのですが、今回は逆に、シンプルな附下げにやや柄の密度のある袋帯を合わせるという考え方でコーディネートしました。
附下、帯両方とも、唐花の動きに上品ながら軽快感がある点が共通点。
若々しさを出せる組み合わせです。
もちろん、王道なシンプルな帯も素敵です。
着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。
帯
袋帯 西陣織 鹿子井山田 唐花。
エスニックな雰囲気のある唐花の袋帯。
全体に動きがあり、遊びも感じられるので洒落袋帯感覚で小紋や紬に合わせることもできます。
パーソナルカラーでいうとイエローベースの方によく似合うオススメ帯ですが、それとは別に活動的な印象の方にもぴったりです。
コーディネート
遊びと楽しさがあるコーディネート。
シンプルな附下で、王道なエレガント・コーデが作りやすい附下ですが、
あえて応用コーディネートの例として、遊びと楽しさがあるコーディネートに仕上げました。
先ほど帯の説明のところでパーソナルカラーについてちょっと触れましたが、附下自体はやや⻘みのあるピンクでブルーベースの方に似合う地色と柄の色です。
帯上に赤を使うことで、さらに若々しさとカジュアル感を強調しましたが、グレー系を合わせると、やや落ち着いた大人っぽさがでます。
附下:東レシルック洗える着物 106-0093
袋帯:西陣織 鹿子井山田 唐花 116-0720
帯上:京都和装小物 衿秀 313-0054
帯〆:江戸組紐 五嶋紐 312-0106
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/
〈三月コーディネート③〉
桜に先駆けて楽しむ旬のコーディネート。
着物
綺麗なピンク地に文箱が描かれた附下。
この季節なら必ず話題になり、パーティーなどでは主催者にも喜ばれる旬のコーディネートです。
ただ、よく質問に挙がるのが「桜を装う時期」。
基本は季節先取りがきもののおしゃれのセオリーなので、桜が咲く前がベストと言われていますが、桜のデザインも様々。
一つの目安としてお伝えすれば、枝葉がある写実的な桜であれば、セオリー通り、桜前線が上がってくる前くらいがいいでしょう。
そして、桜でも写実的ではなく、デザイン化されたものであればその限りではありません。
例えば、桜の花のフォルムだけが整列しているようなデザインや、他の季節の花とともに描かれているものなどは、そこまで厳密な先取り感を踏襲する必要はありません。
この基準は桜に限らず、植物柄全般に当てはまるので参考になさってください。
昭和では期間限定柄の贅沢さをステータスとしてアピールしたことがありますが、ある時期から日本の花なのでいつでも OK という言い方をすることも増えてきました。
商業戦略がベースにあるとは思いますが、それの良し悪しは別にして、以前よりは柔軟になっているのは確かです。
実際に秋に締めることはできないので、屋内で着るなど、花衣(はなごろも=花見に着る衣)でなければ、
時期が重なってもおしゃれとして楽しむほうを優先させてもいいのではないでしょうか。
着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。
帯
袋帯 西陣織 大⻄織物 小袖桜花文。
写実的な桜が織りだされた袋帯。着物好きの琴線に触れる、構図が秀逸な旬の柄です。
織りでありながら植物の繊細さが表現されており、いい意味で染帯感覚でも使える帯です。
附下や、無地、上質な紬などに合わせても素敵です。
期間限定といいながら、コーディネートの幅が広く、必ず褒められる帯です。
ぜひお宝コレクションに加えてください。
コーディネート
桜のイメージをそのままに生かしたコーディネートです。
附下の地色や、帯上のグリーン、帯〆のぼかし感や草履も含めて、春の生命感が感じられる綺麗めコーディネートです。
コーディネートではまとまり感も一つの完成度につながりますが、ちょっと“外した”アクセントも大きな効果を得ることができます。
今回は桜と、桜を愛でる季節感を最大限に生かしたので、全体がまとまりのあるやさしい印象になっています。
附下:東レシルック洗える着物 106-0105
袋帯:西陣織 大西織物 小袖桜花文 116-0698
帯上:江戸組紐 五嶋紐 313-0029
帯〆:伊賀組紐 ひろさわ 312-0037
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/
〈三月コーディネート④〉
清々しい大人の都会コーディネート。
着物
氷割れ(ひわれ)文様を地紋とした七宝柄の洗える附下。
氷割れは、氷が割れたような、細かなひび割れを写した文様です。
七宝柄は吉祥文様の一つ。
7種類の希少な宝石類で、金、銀、瑠璃、水晶、瑪瑙等が挙げられます。
文様でたのしむ“光り物”といったところでしょうか。
ちょっと気持ちが上がりますよね。
すっきりと透明感のある地色は、パーソナルカラーがブルーベースの方に特にオススメしたい一枚です。
灰みがかった中間色が多いきものでは、ありそうで、あまりないキレイめカラー。
ただ、こういうキレイで薄い色は「汚れや手入れが気になる」という方も多いと思います。
しかし、“汚れが気になる”きれいな色こそ、洗える素材が安心、だと思いませんか。
袷仕立で八掛を濃藍や紺藍、紺青色など、やや濁りのある重ためな色を合わせるとまた楽しいです。
優しい配色の七宝柄なので、その雰囲気を生かしつつ、秋冬にふさわしい色味を足します。
また、青みがあるグレーも下半身が締まった感じになりカッコいいですよ。
お茶席はもちろんですが、ちょっと改まった席やパーティでは、いい意味で知的な華やかさを演出してくれます。
洋服の世界で改まった装いというと、黒、グレー、ベージュなど、無彩色や色を感じさせない配色が多いもの。
そんなシーンで透明感のあるキレイめカラーの附下は、好感度が高い目立ち方をするはずです。
着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。
帯
九寸名古屋帯 西陣織 織楽浅野 七宝繋ぎ。
ごく薄いグレーに七宝風の柄が入った九寸名古屋帯。
織楽浅野らしい、いい意味で凝りすぎない、しかし物足りなさはない、職人の経験値を感じさせる柄です。
こちらの帯もそうですが、何が素晴らしいかといえば、着物や小物に委ねる部分を残している点。
もちろん、帯そのものが主役になるコーディネートもありますが、着物や、着る人の着たいイメージに合わせて変える小物を受け入れる懐があります。
ここでは、ブルーを生かしたコーディネートですが、着物がピンク系であっても、クリーム系であっても、黒であっても、コーディネートのイメージが難しくないと思います。これは帯の力といえます。
コーディネート
ブルーをベースにした爽やかなコーディネート。
ブルーをベースにした爽やかなコーディネートですが、春から夏に向けた、ややスポーティで活発な雰囲気も演出しています。
着物でスポーティというと、「??」と思いますか。
そんなことはありません。スポーティなイメージであって、スポーツをするわけではありません。
スポーツから思い浮かぶ、爽やかで若々しく、好感度の高い印象―色でいうと一番に想起されるのが「青」ではないでしょうか。
この色がもつイメージは色彩学では統計学で証明されており、その色に対してもつ、感じるイメージが確立されているのです。今回は、地色が美しいブルー系というのもあり、そんなスキッとしたコーディネートをしてみました。
ポイントとしてはイエローが入った帯〆。
イエローのイメージは、カジュアル、活発、親しみやすさ、元気……などで、スポーティがもつ要素と近い部分があります。しかし、遊びがtoo matchにならないよう、全体としてはスマートで都会的な品の良さも両立させています。
附下:東レシルック洗える着物 106-0106
袋帯:西陣織 織楽浅野 117-0253
帯上:江戸組紐 五嶋紐 313-0030
帯〆:江戸組紐 五嶋紐 312-0219
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/
〈コーディネーター〉
コーディネート 文:細野美也子様(月刊アレコレ)
https://www.arecole.com/
Instagram:@arecole.miyakohosono
〈会社案内〉
水持産業株式会社
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〒933-0804富山県高岡市問屋町20番地
TEL:0120-25-3306
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