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着物コーディネート4月:細野美也子|わらくあんみずもちsince1941 富山

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〈四月着物コーディネート①〉

“道長”は、いまをときめく、あの平安時代の藤原道長。

附下の青みがかった透明感のある色合いに、帯のシルバーが都会的コーディネート。

着物

道長取りの雅やかな附下。

“道長”は、いまをときめく、あの平安時代の藤原道長。
いまをときめく―とは、ご覧になっている方も多いと思いますが、大河ドラマ「光る君へ」でヒロイン紫式部の相手役が藤原道長という設定です。

道長取りはその藤原道長に由来する文様の名前で、当時流行した継ぎ紙からきています。
美しい模様の和紙を手でちぎって張り合わせたもので、道長が好んだところから“道長取り”とよばれています。

まさに雅びな時代を象徴する文様の一つですが、これが現代の技術で生まれた洗える素材に染められているのが妙味。
もちろん、絹は絹の良さがあります。しかし、絹であるがゆえにきものを着る機会に躊躇したり、考えてしまうこともあります。
―つまり気温や天気、汚れなど、気を使うという点において。
これがデイリーカジュアルで着る木綿や麻などであればまったく気にすることなく“着物を着る”という選択ができますが、
ちょっとあらたまった場で、もちろん太物の選択はないというシーンにおいて、これだけ完成度の高い洗える附下であれば、着物を着る機会を逸することがありません。

着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。

袋帯 日本本工芸会正会員 京縫い作家森康次。

技術やデザインはもちろん、刺す糸を染めるところも、全工程を工房で行う、日本刺繍作家・森康次の袋帯。
銀箔の地に施された繊細な針と糸の表現は、上品なのに芯の強さを感じるシャープさがあります。

附下に合わせればグッと締まった雰囲気になり、帯合わせに悩む訪問着にも合わせやすく重宝する一筋です。

コーディネート

ポイントは帯と帯上。

古典的な柄の附下なので吉祥文様などの格の高い袋帯も合いますが、
あえてドレスダウンして、あらたまった席ではなく、ちょっとお洒落な日常のシーンでも着ていただけるコーディネートを意識しました。

附下の青みがかった透明感のある色合いに、帯のシルバーが都会的で大人の表情をつくっています。
もう一つ、ドレスダウンするときのコツは小物にやや強めの色をもってくること。
カジュアル感が出て、着る半径が広がります。

附下:東レシルック洗える着物 106-0080
袋帯:日本工芸会正会員 京縫い作家 森康次 116-0013
帯上:313-0142
帯〆:江戸組紐 五嶋紐 冠 ゆるぎ 312-0227
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/

〈四月着物コーディネート②〉

ときめきがある大人ピンクのコーディネート。

着物

美しい“余白”をもつ、大人ピンクの洗える附下。

桜前線が北上中です。日本人にとって春色というと、桜の花のイメージではないでしょうか。
今は色を性別や年代で分けるのはNGとされていますが、それでも桜色―ピンクは女性にとってはときめきがある色です。
最近は大人ピンクという言い方が浸透しており、年代を越えたピンクの着こなしが雑誌でも街なかでも見られます。
気候もよくなり、やや汗ばむ季節を迎え、これからの季節でこそ洗える附下が活躍します。

何かと、顔合わせや挨拶が多い新年度。
気張りすぎず、しかし相手に対しての敬意を表わす装いとして、まさにオススメの一枚がこちら。
今回ご紹介している、洗える附下は甘すぎない上品な大人ピンクに、笹を絶妙なバランスで配置した飛び柄仕様。

落ち着きのある色合いは年代に合わせた品格を演出し、どんな帯でも受け入れる、いい意味での余白があります。
一見、無難に見える附下でこそ、着こなしの幅があります。
TPOと、着る人の個性に合わせて、悩むことなく自在なコーディネートが可能。
スッキリした帯、柄の密度がある帯、白地や黒地の帯、さらには袋帯や九寸名古屋帯などの洒落ものもOK。

帯で着る人の個性や雰囲気をしっかり出せるというのは、そもそもが土台となる着物が優秀だということ。

着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。

袋帯 西陣織 鹿子井山田 唐花。

西陣・鹿子井山田は唐花のデザインを得手とする織元。

多彩な唐花文様がある中で、こちらはスッキリした余白のあるデザインで、唐花のエスニックな雰囲気を残しつつ現代的なシャープさも感じさせる帯です。
あまり仰々しくなく、しかしきちんとした装いを心がけたいときに重宝な一筋。
白地の余白は、附下の大人ピンクの余白に呼応して心地良いバランスです。

コーディネート

テーマは、春の軽やかな大人ピンクコーディネート。

礼装というほどの重さはなく、かといってカジュアルに過ぎない上品さをアピールできる組み合わせです。
あえて、強い個性を出さずに周囲との調和を意識しました。
時節柄、初顔合わせでの会合が多いときなので、知的で好感度の高い組み合わせは、これからのお付き合いにもよい影響をもたらすことと思います。

附下:東レシルック洗える着物 笹 106-0063
袋帯:西陣織 鹿子山田 唐花 116-0718
帯上:京都和装小物 衿秀 313-0049
帯〆:江戸組紐 五嶋紐 冠 ゆるぎ 312-0276
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/

〈四月着物コーディネート③〉

着る人の活力漲るコーディネート。

着物

瑞々しい若菜色に、部分的に刺繍が施された花丸紋の洗える附下。

落ち着いた雰囲気の中間色が多い附下の中では、色そのものの綺麗さと透明感があり、専門的にいうと“明清色”になります。

ところで、“中間色”という言葉はよく使われますが、“明清色”とは-?
これらの色みの定義をご存知ですか?

最も鮮やかな、何の混じりっけもない色を“純色”といいます。
この純色に、白を混ぜると明清色、黒を混ぜる暗青色、そして、灰色を混ぜると中間色といいます。

どれも元の純色の鮮やかさは失われますが、白と黒を混ぜた場合は濁り感が抑えられ、元の色みを残しますが、灰色を混ぜた場合は濁り感がでてきます。なので、中間色は濁色ともよばれます。
ただ、濁色=綺麗でない色、ではありません。
ソフトな色みや、知的なグレイッシュな色みなど、中間色にしか出せない優しさと落ち着き、複雑な味わいが信条です。

そして、今回のこちらの若菜色は緑に白を混ぜた明清色のような色。
緑本来のきれいな色みがちゃんと分かる、自然を感じる色です。
だから、瑞々しさに通じ、着る人に元気な印象をもたらします。

一見、若い年代に人にピッタリ?と思うかもしれませんが、NO!
むしろ、ちょっとお疲れが顔や立ち姿に出やすい年代の方にオススメです。
きものサロンみずもちセレクトの洗える素材の附下は、絹と見紛う光沢があるしっかりした高級ポリエステル素材。
素材の光沢と、色がもつ生命力が着る人に活力を与えてくれますよ。

着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。

袋帯 尾峨佐染繍 四騎獅子狩文。
シルクロードを通ってやってきた異国の文様、獅子狩紋。

騎馬民族をルーツにするエスニックな文様でありながら、刺繍の立体的な表現と上品な配色で、貴婦人のようなエレガントさが香ります。
附下はもちろん、モダンな訪問着や色留袖に合わせてみたい袋帯です。

コーディネート

カワイイと花丸紋と、ユーラシア由来の獅子狩文。


まるで雰囲気が違う文様が、色そのものや、配色により違和感なく調和するたのしさが、ポイント。
先に色のお話をしました。
ちょっと専門的な言葉も使いましたが、帯の色、附下の色ともに、“白を混ぜたような色”だから調和するのです。
柄だけでなく、色そのものでもなく、色の調子―色調が同じだとどんな色を合わせても調和がとれます。

今回は、よくある柄やイメージのコーディネートではなく、色の調子=トーンがテーマです。
ちょっと難しかったかもしれませんが、カラーコーディネートのコツを知ると、コーディネートがぐんと楽に、そして垢抜けます。

附下:東レシルック洗える着物 刺繍花の丸 106-0057
袋帯:尾峨佐染繍 四騎獅子狩文 116-0714
帯上:江戸組紐 五嶋紐 313-0030
帯〆:江戸組紐 五嶋紐 312-0219
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/

〈四月着物コーディネート④〉

時代にぴったりな、袷を単衣でご提案コーディネート。

着物

青みのある濃いめのグレーに絞りのような柄が飛ぶ附下。

地色とスクエアがモダンでスッキリした印象をもたらします。
リアルな絞りではないので、逆に角形の絞り柄というところに、え?と目を留める人もいそうです。

ところで、そろそろ気温が上がってくる時季です。
平成では、袷?単衣?と、悩んだ人は多いと思います。
しかし、いまやルールの中での単衣6月9月説は自然消滅しつつあるといっていいでしょう。
相手があって着る礼装でさえ単衣と袷に関しては柔軟に考える人が増えています。

4月に私が編集している『月刊アレコレ』でとったアンケートで、カジュアルにおいて「絹の単衣を着る時期をおしえてください」という項目がありました。
絹というのは、単に単衣だと木綿や綿麻など、どちらかと言えば通年仕様で着る着物も含まれるであろうという推測で、「本来、袷だった時季に単衣をいつから着るか」という点に着目した質問にしました。
4月〜10月(薄物は別)が39%で、袷と併用しながら真冬以外と回答した人が31%でした。両方合わせて約70%です。
アンケートの人数は77名ですが、ポイントは呉服店関係者や着付け師さんなど、着物に詳しい人達が母数ということです。

ここまで単衣が増えてくると、色柄もやや単衣を意識した色柄を選ぶことが増えてきます。
白っぽすぎず、柄も季節を問わない―紹介した附下はまさに単衣にぴったりな一枚。

着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。

名古屋帯 呉遊安田 孔雀の舞

初夏にふさわしい白地ベースに、羽根がデザインされた洒落た帯です。

無地部分がたっぷりあるのですが、“もの足りない”という感じがしません。
羽根の柄がもつ空気感や軽さを生かす、計算されたような余白です。
羽根は2種類で1種類は孔雀の羽根。

因みに孔雀は、貢物として飛鳥時代に頃に日本に持ち込まれたのと言われていますが、生息はもっとあと。
とてもエキゾチックな姿の鳥であったためか、モダンなイメージをもつ柄として明治〜大正時代のきものや帯の柄に使われるようになってきました。
軽さがあるので、附下、小紋など、きちんと感のあるスマートカジュアルに活躍します。

コーディネート

全体に余白のある、引き算のコーディネート。

初夏の気配が漂います。
しかしまだ完全に夏物ではない季節のスマートカジュアルとして合わせました。
ブルーベースと白でスッキリと、帯〆も細めにしています。全体に余白のある、引き算のコーディネート。
盛夏は盛夏の素材を用いますが、その一歩手前は単衣の軽やかさを意識、重たくならないことが肝要です。

附下:東レシルック洗える着物 紋意匠附下 106-0087
袋帯:呉遊安田 孔雀の舞 116-0197
帯上:江戸組紐 五嶋紐 313-0023
帯〆:江戸組紐 五嶋紐 312-0127
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/

〈コーディネーター〉

コーディネート 文:細野美也子様(月刊アレコレ)
https://www.arecole.com/
Instagram:@arecole.miyakohosono

〈会社案内〉

水持産業株式会社
https://www.warakuan.jp/
〒933-0804富山県高岡市問屋町20番地
TEL:0120-25-3306

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