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着物コーディネート8月:細野美也子|きものサロンみずもちsince1941 富山

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〈八月コーディネート①〉

強い主張をせずに伝わるセンスの良さ、趣味の良さ。ひそかに注目される、わきまえた美しいコーディネート。

着物

控えめなのに印象くっきり絽地の花唐草紋様の夏附下。

伝統色名で表記すると、地色は鉄納戸色。
写真だけでみると強めの寒色系カラーです。
しかし、黒同様、薄ものの濃い色は下に白の襦袢を着ると、白が際立ってむしろ目に涼やかです。
暑苦しさを排除するために白っぽい色を選ぶことが多い夏。
それも間違いではありませんが、あえて濃い色を用いることもコーディネートテクニックの1つです。
ただし、色は黒か、寒色系で。

さて、大人になるとそれぞれ、公私で“立場”というものがあります。
それなりの装いを意識するシーンがあるということです。
それなりのーーは、その場での立場にふさわしい装いということ。
あるところでは主役級になるかもしれないし、あるところでは堅実な脇役になるかもしれません。
別なあるところでは、あなたの個性をそのまま表現することがふさわしいかもしれません。

今回のコーディネートは、主役ではないけれど存在感がある堅実な脇役がイメージです。


強い寒色系とコントラストが美しい白の帯。
存在感がくっきりしています。
それでいて花唐草紋様がしなやかな女性らしさ感じさせ、上質な大人のお洒落となっています。

ただ、「主役ではないけれど〜」と言いましたが、それは何らかの主旨の元での集まりにおいての話、公私の公が濃い場合です。
公私の私、つまり完全プライベートでのお出かけであれば、十分に主役級の、しかし洋服の友人知人と一緒でも変に浮かない装い。
プライベートでは小物に遊びを入れるのもいいですね。

着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。

夏八寸名古屋帯 西陣織 絽綴れ。


盛夏ならではの一筋、葉月にふさわしい白の絽綴れ
綴れというと、帯の代名詞の一つでもありますが、絽綴れはそこにまたロマンティックな響きがあります。
とろみのある絽も素敵ですが、綴れならではの、自立するシャキっと感が暑さを押しやってくれるような気がします。

白の帯は汚れが気になるという人もいますが、夏らしさを演出し、しかもコーディネートをしやすい点が白の良さです。
黒の着物に黒の帯は、小物を入れてもちょっと重たくなりますが、白の着物に白の帯は小物の色が生きるので問題なく着られます。
持っていれば絶対重宝する夏帯、絽綴れ。
着まわしを考えれば、柄に主張がないのもポイントになります。

清潔感があり、潔いほどの白、盛夏に楽しんでください。

コーディネート

強い色でも知性が感じさせる、白を生かしたコーディネート。

公私で“立場”というものがあります。
それなりの装いを意識するシーン。
それなりの-は、高価なものを着るというのではなく、その場での立場にふさわしい装いということ。

今回は夏着物ではめずらしい鉄納戸色。
色の存在感が大きい附下です。


わりと粋な印象になりがちな色ですが、柄が優しい花更紗なので、
粋より「知性が漂う存在感」をテーマにコーディネート。

それが主役の華やかさではなく、存在感と知性のある脇役としての組み合わせです。

そうはいってもただ地味、目立たないというのでなく、洗練された引き算コーディネートとして帯〆は細めに。
わずかに可愛さを表現したピンクの帯上は、トロリとした生地ではなく八丁撚糸のパリッとした地風の、甘さを押さえた大人の錆ピンクを入れています。

夏附下:東レ洗える着物シルジェリー
夏八寸名古屋帯:西陣織 絽綴れ
夏帯上:京都和装小物 衿秀 絹地水撚八丁撚糸使用 錆ピンク 313-0192
夏帯〆:江戸組紐 五嶋紐 レース 312-0383
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/

〈八月コーディネート②〉

創り手の高い技術から生み出される“個性”は説明不要、圧倒的な美しさとして記憶に残る夏のコーディネート。

着物

絽の秋草模様で日本の美意識を装う夏附下。

温暖化で異常なほどの気温と暑さが年々常態化して、7月、8月が盛夏と思ってしまいますが、二十四節気でいえばすでに8月7日が立秋。
私たちがお盆の前後からなんとなく秋を意識するようになるのは、二十四節気で暮らしてきた日本人独自の感覚なのでしょう。
現実の暑さとは別な、私たちのDNAに刷り込まれている暦といえます。

着物の柄でも、7月中だとちょっと早いなと感じるのに、8月になると秋草、虫の柄がしっくりくるようになります。
虫に季節の情緒を感じてリアルな具象柄として衣服に描くーー蜻蛉や蟋蟀に小さな感動をおぼえる私たちの文化。
これは着物ならではの美意識であり、価値観といえます。

この美意識は当然ながら、各国で違います。
先年、理事として所属するKICCA(きものカラーコーディネーネーター協会)の勉強会でお招きした河上繁樹先生(関西学院大学教授で日本と中国の染織と服飾史を研究)が、国による美意識の違いをお話したときに
「日本の美意識は秋草に象徴される」と解説してくださったことがありました。
これは日本美術史の大家・源豊宗が論文で発表したものを踏まえた、西洋と中国と日本の美術的特徴を捉えた説です。

興味深いのでちょっとご紹介すると、西洋は「ヴィーナス」、中国は「龍」、日本は「秋草」がそれぞれの美意識として象徴されるといいます。
西洋は「ヴィーナス」に象徴される客観的なリアリズムと官能美、裸体を通しての人間表現。
中国は「龍」に象徴される精神的、超越的な人間としての理想の実現。
そして日本は-主観的、情緒的な和やかさと、うつろいという時間軸に対する哀感が特徴で、その美意識を象徴するものが「秋草」だという論です。
夏が終わり、風に揺れる秋草もやがて朽ち、冬を迎えるといううつろい。

なるほどと思い当たるのは、平安時代から続く朽木紋様は虫に食われて朽ちた木を文様化した図案であり、虫喰いの葉も情緒を感じる図案としていまでもよく使われます。
今は、永遠ではなく過ぎゆくのだという捉え方ですが、海外では理解しにくい紋様といえます。

秋草から長い説明になってしまいましたが、着物や屏風で秋草の図案が多い理由が、なんとなく理解できたのではないかと思います。
日本の美意識の象徴を、ぜひ8月の絽で。

着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。

単衣八寸名古屋帯 染織伝統工芸士三田清治 藍組帯三軸組織。

青のグラデーションが美しい、まさに技術が創り上げた逸品です。
正倉院の組紐を帯で再現するという試みで約50年前に開発された織機で、現在世界に2台しかない大型環状織機で製作されます。

大きな特徴は、“組み”の技術が用いられており、とにかく締めやすいしなやかさがあり、シワになりにくい特性をもっているということ。
円形の織機にものすごい量の経糸が設置されます。
これは組紐を組むときの、丸の組紐台のイメージにちょっと近いかもしれません。
円形の巨大な組紐台といえます。
通常の織機はタテ・ヨコの2方向の糸が直角に交わり織り込まれていきますが、この大型環状織機は、タテ・斜め、斜めと、3方向で交わり織り込まれているので、バイアスの力にも柔軟でしなやかという特性を生み出しています。

そして特筆すべきはこのデザイン。
シンプルなグラデーションですが、思い切りのよい濃く深い群青色から始めたセンスは称賛ものです。

コーディネート

夏らしさと、秋の気配を同調させた8月ならではのコーディネート。


穏やかな秋草模様に、夏らしい印象的な深い青の帯を合わせることで、“正統派の個性”を狙いました。
個性というと、モダン、現代的、近未来的、アーティスティックなどのワードが想起されます。
しかし、伝統的な柄の着物と正統派の帯―この、タイプのまったく違うものを思い切りよく合わせることで生まれる、一種の化学反応を楽しむコーディネートです。


それが一味違った“正統派の個性”。
一歩違うとチグハグになりそうですが、上質な品はしっかりしたパフォーマンスを見せてくれます。

もしポリエステルだから上質ではないという考え方をお持ちの方がいるなら、そこはアップロードしてください。
着心地と機能と本物の染めの技術を用いた東レシルックは、上質な素材として認識してよい次元にきています。
そして青のグラデーションの帯は絶対褒められる、目立つ正統派な個性です。

夏附下 東レシルック洗える着物 111-0158
単衣八寸名古屋帯 染織伝統工芸士三田清治 藍組帯三軸組織 120-0005
夏帯上:江戸組紐 五嶋紐 絽 鈍緑 313-0213
夏帯〆:京都和装小物 衿秀 組紐 ドット 白×白 312-0418
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/

〈八月コーディネート③〉

シックなベージュの組み合わせに、隠れたかわいさを散りばめたイエベ系夏コーディネート。

着物

上品なベージュに七宝アレンジが描かれた絽の夏附下。

デイリーにもスマートにも着こなせるイエベ系にオススメの一枚。
七宝は古典的な紋様ですが、和的な可愛さがあり多くのアレンジがあります。
大きく配置されると吉祥文様としてのパワーが感じられ、多色でアレンジされる若々しい躍動感がでます。

今回ご紹介している柄は控えめに散る、若干アレンジが入った七宝。
小手毬のようなかわいさがあります。
柄も地色を踏まえた同系色、パーソナルカラーがイエローベース系の人にオススメしたい附下です。

このベージュや茶系の着物をワンカラーでまとめると、本当に上品で完成度の高い大人の仕上がりになります。
単に女性らしい優しさという範疇ではくくれない、大人の知的な印象が際立ちます。
これは寒色系や赤系では表現できにくい、シックなベージュや茶系ならではの特長です。

こちらの附下は色も柄も強い主張がないので、小紋感覚で気軽に着られます。
洗えるという特性もデイリーユーズにピッタリ。
今回は紬の帯を合わせてカジュアルに寄せていますが、エレガントな絽の染め帯や絽綴れなどを合わせると、瞬時に背筋が伸びるようなきちんと感が出ます。
カジュアル以上フォーマル未満の、スマートな装いが多い方には、とても重宝な一枚です。

着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。

夏八寸名古屋帯 秦荘織 川口織物 大麻絣帯。

さりげない夏紬の八寸名古屋帯はお太鼓のパープルスクエアーが顔。
着物の存在を生かしつつ、きちんと帯としての“顔”をもつ優等生な紬の八寸名古屋帯です。
明るめのベージュなので、お太鼓柄になるスクエアーの紫がくっきりして存在感があります。
このお太鼓柄、スクエアが3つ並んでいますが、位置として多くのかたはちょうど真ん中にくるように意識すると思います。
ちょっと細かくなりますが、この柄の位置で印象が変わること、ご存知でしょうか。

お太鼓柄が大きい、もしくは全体に入っている場合でもどこかしら重心になる箇所があると思います。
中央は誰にでも似合う位置ですが、やや上にすると若々しい動きが感じられ、気持ち下に下げると落ち着いた雰囲気になります。
だから年代が上になったら柄位置を下に下げたほうがいいということではありませんが、そちらがしっくりときて似合うことが多いのです。

私が尊敬している笹島寿美先生という着付け師で帯研究家の方がいます。
骨格着付けの理論を完成させた方で、多くの着付け師さんにリスベクトされている方です。
御年87歳になられますが、年齢を感じさせない美しい立ち姿で、MacPCをいじるのが大好きな若々しい方です。
笹島先生をしても、ある年齢から(お太鼓柄は)重心を少し下目にしたほうが自然でしっくりくるんですよ、とおっしゃっていたので、まさに、と思ったものでした。

私は逆に、若い方は中央より下にしないほうがいいと思っていたので、恐縮ながら、柄位置に関して同様に感じていたのだと思ったのでした。
細かなことですが、後ろ姿は見ることができません。
参考になさってください。

コーディネート

着物、帯がワンカラーでシックに。

小物で隠れた可愛さをプラス。デイリー着物に近い感覚の、軽め、気軽なコーディネートです。
附下、訪問着もですが、柄付けで着物の種類が分類されます。
柄の重さ、密度により、附下感覚で着られる訪問着、小紋感覚で着られる附下があります。

こちらの洗える絽の附下は同系色を用いた軽めの柄づけなので、帯でセミフォーマル、デイリーの使い分けができます。

今回はデイリーユースとして、紬の八寸名古屋帯を合わせた軽快で素朴な取り合わせにしました。
着物と帯、ベージュのワンカラーで合わせています。

シックですが、地味にならないよう、帯〆にレースのオパールグリーンを合わせて現代みを演出し、白の上を合わせることでベージュの濁り感が消えてスッキリした帯まわりになります。
白の帯上ですが、水撚り八丁撚糸使用したシャリ感がある地風なのでフォーマル感はなく、白の効果がよく出ています。

夏附下:東レシルック洗える着物 111-0152
単衣名古屋帯:秦荘織 川口織物 大麻絣帯 120-0050
夏帯上:京都和装小物 衿秀 絹地水撚り八丁撚糸使用 白 313-0187
夏帯〆:江戸組紐 五嶋紐 レース 312-0376
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/

〈八月コーディネート④〉

着る人の品性と知性が目に見える、名残の夏のコーディネート。

着物

街で目を引く装い、裏葉柳色に笹がデザインされた夏附下。


綺麗な薄緑の地色は、伝統色でいうと裏葉柳色。
柳の葉の裏は表の色より薄い緑になります。
夏の素材、薄ものはそれだけで目を引くものですが、綺麗な色は街なかで一層目立ちます。

目立つ―これは使い方により良し悪しがありますが、こちらのブログでも度々言っているのが“上品に目立つ”のが大人の最上級のお洒落と言っていいと思います。
ただでさえ目立つ着物だから、あえて周囲や洋服に馴染む色、浮かない着こなしという発想もありますが、こちらは存分に着物のお洒落、大人のセンスを放つ着こなしをしていただきたい絽の附下です。

きれいな地色だけでなく、柄の笹に施された細やかな刺繍が、着物の上質さを一段格上げさせます。
笹は古典的な紋様ですが、刺繍のデザインと白上げの組み合わせの配置バランスがよく、垢抜け感があります。

さて、薄ものという素材について触れると―職人さんや販売業の方など、着物を生業にしている人は着物の素材の中で夏もの、薄ものが好きという人が多いのですが、
それは素材の豊富さと、薄ものという夏限定の素材へのエモーショナルな感覚ではないかと思っています。
実際、私自身も薄ものには秋冬ものの素材にはないロマンティックさがあり、絽や紗など、夏素材が大好きです。

とはいえ、日々正絹の薄ものを着る負荷を感じるというのは、現実問題としてあります。
前にもお伝えしましたが、今夏は東レシルックやセオ・アルファなど、洗える素材の着物で薄ものを着たい気持ちが満たされています。
正絹は正絹の良さがあるので、それに代わるものではなく、別なジャンルの薄ものと捉えて楽しんでいます。

紹介している東レシルックの絽。
ポリエステルのなかでも東レシルックは正絹に近い組織を目指して開発されています。
落ち感や光沢など、正絹に近い特長をもつのはそのためです。
そしてそれまでのポリエステルが持ち得なかった、吸水速乾という特長ももち、ポリエステルだから暑いという認識は改めなければならない頃合いです。まずはお試しを。

着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。

季節先取り、8月に秋風を運ぶ涼やかな桔梗が秀逸な麻の九寸名古屋帯。

桔梗は薄と並んで代表的な秋の柄。
しかし、その秋の柄を夏素材の麻に描くのが日本人であり、着物特有のおしゃれです。
最近は残暑が長いこともあり、麻を用いる季節が早まっているとともに、盛夏が過ぎて9月に入っても麻を着ている人が増えています。
確かに暑いけれど、やはり9月に麻はちょっと……という人もいるかもしれませんね。
しかし、帯だけでも涼しさが違います。
きもので一番暑いのは、伊達〆や帯、帯枕、帯上と、布を重ねる帯まわり。
ここが麻だと体感温度は全然違います。
水分や湿気を外に出す力が高い麻の機能を活かしてください。
もちろん、盛夏でも。
そしてもう一つの参考にしていただきたいのは、帯芯。
仕立てではお任せにすることが多いと思いますが、通常は絹芯か、綿芯になりますが、夏物はぜひ絹芯を。
蒸散性といって湿気を外に出す力が一番高いのが麻ですが、その次が絹。
3番目の綿は、吸水性はありますが蒸散性は高くありません。
つまり乾きにくい。イコール汗や湿気がこもりやすくなります。
ちょっと高くなりますが、その分の価値はあります。

コーディネート

日本の季節の情緒と美しさを絵にしたような、こなれ感がある上級コーディネート

桔梗で季節の先取りをしながら、それが夏の名残にもなる、絽と麻の盛夏素材のコーディネート。
この「夏の名残」――この言葉にはまさに先週お伝えした日本人の美意識を象徴する「秋草」、つまり「うつろいという時間軸に対する哀感」が込められています。

先年、知人が残暑の厳しい9月に薄もので大師匠の日本舞踊の舞台を観に行った際。
ご当人に挨拶をしたときに「今日は暑さが厳しく、薄もので失礼します」と一言添えたところ、「(夏の)お名残ということで-」と微笑まれたと。

日本舞踊やお茶の世界でも季節の切り替えに厳密と言われますが、このエピソードを聞いたときは感動しました。なんてステキな受け答えでしょう。
“お名残”という言葉ですべてを包み込む知性。


和ごとの世界ではなく、一般的なお洒落として着物を楽しむ私たちは、すでに9月の薄ものも普通になりつつありますが、
季節の変化を念頭にお洒落を考えるのは、ルールではなくそれがステキだからです。
こなれ感のある上級コーディネート、お試しください。

夏附下:東レシルック洗える着物 111-0163
単衣・夏九寸名古屋帯:西陣織 宮岸織物 麻 桔梗 120-0045
夏帯上:江戸組紐 五嶋紐 絽 レモン色 313-0210
帯〆:江戸組紐 五嶋紐 三分紐 帯留付き 琉球ガラス 緑 312-0421
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/

〈八月コーディネート⑤〉

その席でも一目置かれる趣味性の高い上級者好みのコーディネート。

着物

洗練された渋さがテーマ、山並の暈し染めが秀逸なデザインの夏附下。

夏季はわりとさっぱりしたデザインの附下を紹介してきましたが、こちらは立体的な山並ボカシが描かれた洗える附下。
前身頃の上の方まで柄が入っており、仕立てると訪問着にも見紛う凝った柄の構成です。
前身頃の染めの濃淡で下半身がスッキリと見える効果があります。

山の風景は桜から新緑、夏の濃緑、そして紅葉色と、変化していきます。
勢いのある濃緑から紅葉になる間の、落ち着いた山の色を表現したような灰青磁色〜薄利休茶で構成された配色。

そろそろ絽も着納めに入ってくるこの時期にふさわしい附下です。

正直なところ、色だけで見るとやや地味……と感じられる方もいるかもしれません。
しかし、決してそうではない、というところを今回はぜひお伝えしたいと思いっています。

着物ははあたりまえですが、色だけ、柄だけでそのイメージや雰囲気が決まるものではありませんが、人の目はまず色をみます。

そこで、明るい、渋い、派手、落ち着いた、かわいい等々の自分の中での色の先入観で第1ジャッジをします。
そして柄を見て第2ジャッジをします。
実際にはほぼ同時にこれを行っているわけですが、この山並のボカシ染めはシンプルな表現ではありますが柄の面積が大きく、さらにはその濃淡、そして山のラインに入る白が抜け感と立体感になっていて、渋みと豊かさが感じられます。

渋さとは地味は別。
渋さはクールにつながる表現なのです。
いままでご紹介したものとは違うカッコよさをみていただきたいと思ったのです。

やや帯を選びますが、誰でも着られるアイテムとは違ったオーラをまとえると思います。

着物初心者の方が気軽に着られる附下。着物上級者の方が満足する完成度。
きものサロンみずもちセレクト附下。

単衣・夏染九寸名古屋帯 栗山工房 和染紅型 麻 メディニラ。

かつての栗山工房らしい帯とは、いい意味で違う麻夏九寸名古屋帯です。
メディニラの正式名称は、メディニラ・マグニフィカ。
フィリピンが原産のノボタン科の花です。
実はこの花の色はピンク。
可愛いですが、現物の写真などを見ると、あまり日本人好みとは言えないかもしれません。
それゆえ、この花を栗山工房が帯にするとこうなるのか、という意外性、楽しさがあります。

単色で淡彩画風に仕上げられていること、そして柄としての構図が秀逸なので、エッジの利いた日本画のようでもあります。
私自身、麻の染め帯が大好きです。

しかし、やや個性的なものが好みということもあり、これというものに出会うことが少ないのですが、最近の大胆な構成の栗山工房の帯には着物の魅力を引っ張り上げる力が増しているなと感じます。ぜひ、染め帯の力もお試しください。

コーディネート

あえて、似合う人が限られる趣味性が高い上級コーディネート。

帯はともかく、着物は誰でも着こなせるとは言えないかもしれません。
しかし、うまく合わせられると平凡からアタマ1つ抜けた趣味の良い上級者コーディネートになります。
40代以上の方でなければ着こなしは難しいかもしれませんが、すべての年代で着られる着物にはないお洒落を楽しんでいただきたいコーディネートです。

渋いコーディネートですが地味にしないポイントは白さが光る帯〆。
帯上に別な色をいれるときは、着物と帯の色の調和を崩さないように、
彩度の高い色は避けて、クリーム色やベージュ系など、青みより黄みがある色のほうがまとまります。

夏附下:東レシルック洗える着物 111-0149
単衣・夏染九寸名古屋帯:栗山工房 和染紅型 麻 メデイニラ 薄グレー 120-0030
夏帯上:京都和装小物 衿秀 麻 草色 313-0223
夏帯〆:京都和装小物 衿秀 段違い縞 白×赤ライン 312-0414
きものサロンみずもち:https://warakuan.shop-pro.jp/

〈コーディネーター〉

コーディネート・文:細野美也子様(月刊アレコレ)
https://www.arecole.com/
Instagram:@arecole.miyakohosono

〈会社案内〉

水持産業株式会社
https://www.warakuan.jp/
〒933-0804富山県高岡市問屋町20番地
TEL:0120-25-3306

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